【闘病60日目 最後の面会】
輸血を終え、入院することになった乙音との面会を待ちました。 乙音は今、ICUに入っているとのこと・・ 乙音の病状は、言うまでもありません・・ ただ、地元の先生に入院のことで相談した際、「一般入院は、夜間は数時間置きにしか看ない」と言われていたので、ICUであれば24時間看護なので、その点だけは安心できました。 ICUに、ペースメーカーの手術をした子がいて、その子の処置をしているので、少し待つように言われていました。その子は、komiさんの愛犬、ぺギちゃんでした。 komiさんとは、このブログを始めてから偶然知り合いました。(過去記事) komiさんは、この日、私達が面会する前と、次の日のお昼頃、乙音を見て下さった方です。 暫く待った後、助手の先生が迎えに来て下さいました。 乙音と会えるのはとても嬉しかったのですが、内心は複雑でした・・ 先ほどの教授のお話からすると、 連れて来た時よりも容態が悪化しているかもしれない、ということと、 絶対に乙音は私達と一緒に帰りたがるので、そんな乙音を置いていかなければならないこと、それがとても苦しかったからです・・ でも・・早く乙音に会いたい! ICUの前には、数人の学生さんが座って休憩されていました。私達は、こんにちはと挨拶し、助手先生の先導でICUへ入りました。 さほど大きな部屋ではありませんが、いろいろな機材が並んでいました。乙音は部屋の奥にある⇒ のような酸素室に入っていました・・ ※初めてご訪問頂いた方は、カテゴリの「ブログの概要」へお進み下さい。 乙音は・・ 酸素室の一区画に、硬く冷たいであろうステンレスの床の上に敷かれたペットシーツの上で、こちらを向いて伏せていました。 前髪が乱れ、目が隠れていました・・ 身動きせず、前方やや下側をじっと見つめていたように見えました。。 呼吸は荒く、乱れた前髪が揺れていました・・ 乙音は私達の声に気付き、顔を上げました。 やや虚ろな目をしていましたが、ちゃんと私達の方を向いていました。 助手先生が一言、「お尻から出血しています・・」と仰いました。 えっ、それは聞いていない・・ 妻が言いました。 「抱いてあげてもいいですか?」と。 助手先生に了解を得て、扉を開けて頂きました。 私達は乙音に近づきました。 私達の呼びかけに、乙音は立ち上がりました。 おそらく・・ とても立てる状態ではなかったはずです・・ それでも乙音は、しっかりと立ちました。 立ち上がったことに、助手先生も驚いていました。 先ほどまでの膨らんだお腹は、腹水と胸水を抜いたことによって元に戻っていました。 乙音を見ると、お尻から血が出ています・・ 下血です。。 助手先生のお話では、「輸血したので血圧が上がっているせいもあります」とのこと。 「つくねー」という、妻の呼びかけに、乙音は妻の方へ歩き、妻は手を差し伸べました。 乙音は、妻の胸元へ頭をもたれました・・ とても力なく・・ 妻に体を預けていました・・ 妻は乙音を抱きかかえました。 妻の手には、乙音の血がベッタリと付いていました・・ 私も抱きたかったのですが、目の前の乙音はあまりに痛々しく・・ 抱くことさえ躊躇わずにいられませんでした。。 この時、抱いておけばよかったと、後で後悔することになろうとは思いませんでした・・ 乙音は一緒に帰りたかったんだと思います・・ 「いたいよ~ さみしいよぉ・・ おうちへかえろう・・」 そんな乙音の声が聞こえたように思いました・・ けれど、連れて帰る訳にはいかないと、私達は決めたのです。 連れて帰りたい・・ 一緒にいたい・・ けれど・・ 今ここで治ることを諦めるわけにはいかない。。 しっかり治療をして頂いて、元気になればすぐ迎えに来るから・・ 妻は「お仕事に行くからね。いい子で待っててね。すぐ帰ってくるからね。」と、 いつもお留守番をさせる時と同じように乙音に言いました。 乙音をペットシーツの上に座らせ、伏せをさせました。 乙音は・・ いつもと同じように、「そうなんだ。。」と諦めたように、じっとしていました・・ この時の乙音との面会は、時間にして5分足らずだったと思います。 助手先生は、「この後、血液検査をして、治療の方針を見直します」と仰いました。 私達はお願いしますを繰り返しました。 隣のケージにいた、komiさんのぺギちゃんにも 「隣の乙音をお願いね。頑張ってね。」と声を掛け、ICUを出ました。 私はICUを出る時に、振り返って乙音を見ました。 乙音は伏せをしたまま、ICUを出て行く私達を目で追っていました・・ 「やっぱり連れて帰ります!」 この言葉を言いたくて・・ でも・・ この言葉を飲み込んで、ICUのドアを閉めました・・
by harutsuku
| 2006-09-16 09:09
| 闘病記
|
動画:在りし日の乙音
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理不尽なこと 【10/2 更新】
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