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~原因不明の病気と闘った愛犬の記録~



【最期の夜】

乙音を連れて、やっと我が家に戻ったのは、午後11時過ぎでした。

    「おうちに着いたよ」

私達は乙音に語りかけました。
いつも一緒に外出した時にそう言うと、少しガッカリしていた乙音でしたが、
きっとこの日は喜んでいたのではないかと思います・・


家の中は真っ暗でしたが、玄関のドアを開けると、春之進が待っていてくれました。
「クゥ~ン・・クゥ~ン・・」と淋しげになきながら・・

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春之進に留守番のお礼を言って、たくさん褒めて、
「つくちゃん、帰ってきたからね」と言うと、尻尾を振って喜んでいました・・
妻が乙音を抱き、私が春之進を抱きかかえ、一緒に二階に上がりました。

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乙音にとって、2日振りの我が家です・・
ずっと、家族で一緒にいた空間に、乙音が帰ってきました。
・・・けれど、乙音の喜ぶ姿を見ることはできません。。

春之進に随分遅い夕食をあげてから、乙音との対面をさせました。
闘病中、ずっと寝ていた同じ場所に乙音を寝かせました。

春之進の反応は・・
糖尿病による白内障で、殆ど目が見えない春之進は、いつも匂いと気配で乙音を確認していました。
この時も匂いを嗅ぎ、乙音に顔を近づけ、最初は喜んで尻尾を振っていました。
そのうち・・
反応の無い乙音に、いつもと違うことを悟ったようです・・
乙音の顔に鼻を近づけたまま、伏せをしてジッとしています・・
乙音が生きている時には見られなかった行動でした・・

    「分かるんだね。。」

私達は、そんな春之進の姿を見て、また涙腺が緩くなったようでした。。



私達は代わる代わる、乙音の頭を撫でて、改めて乙音に言いました。

   「よく頑張ったね・・いい子だったね。。」・・と。

きっとこの時、乙音の魂は私達の傍にいて、「がんばったよ~」と、懸命に尻尾を振っていたことでしょう・・
けれど、そんな愛しい姿は・・私達には見えません。。

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しばしそんな時間を過ごし、乙音が最初の痙攣を起こす前日の3/23以来、
1ヶ月振りに寝室で家族揃って床に就きました。
以前の我が家では、寝室で寝る時には、妻と乙音はどっちが早くベッドに入るか競争するのが日課でした。
乙音は妻に負けじと、小さいくせに凄い脚力とジャンプ力を披露し、妻に勝ってご褒美のキスを受けていました。
    
    「我が家の女性軍は元気がいいなぁ・・。なっ、春之進・・」と、

妻と乙音の姿を見ながら、私は抱いた春之進に語っていました。
・・もう、そんな微笑ましい姿を見ることはできなくなりました。。
妻は、寝かせていたクッションごと乙音を抱いて、ゆっくり寝室に入って行きました。。
その後を、私は春之進を抱いて追いました。。


乙音はいつも寝る時、最初は妻のところにいても、必ず私のところで寝ていました。
腕枕だったり、私の枕を半分占領したり、毛布の中に潜って膝の裏で寝たり・・
今の乙音は、亡くなったままの、左半身を下にした状態でした。
そのまま寝かせると、顔は妻の方にだけ向いてしまいます・・
「いいでしょう~」と言いながら、妻は乙音の顔の方を向いて寝ました。。
間に春之進まで加えて・・
私には乙音の後姿しか見えません。。
(乙音の顔を見ながら寝たいなぁ・・もう今夜だけだし。。)・・と思いましたが、
ずっと私は乙音と寝ていたので、最期の夜だけは妻に譲ってあげました。。

4月の下旬とは言え、夜はまだ少し肌寒い季節です。
生前の乙音はとても温かく、私はいつも懐の乙音で暖を取っていました。
最期の夜は、右手の掌を乙音の体に触れながら寝ました。
右手の掌だけが冷たく感じるのは何故でしょう・・・

1ヶ月前、私の懐で気持ち良さそうに寝ていた姿が思い出されました・・

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もう・・

乙音との、そんなささやかな幸せを感じながら眠る日は来ない・・



妻に気付かれないようにそっと涙を拭った、乙音との最期の夜でした・・



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乙音が息を引き取ってから12時間になるというのに、
乙音の体は柔らかいままでした・・
死後硬直は、ほとんど見られませんでした・・
辛うじて後脚が硬くなってきたかな・・という感じでしたが、まるで麻酔に掛かったまま寝ているかのように、体は生きている時と同じように柔らかかった・・
クッションごと抱えないと、折れてしまいそうな感じだったのです。。

体が冷たいのと、見開いたままの目が乾いて曇っていた他は、
生きている時と同じでした・・
硬直するほど、筋肉が残っていなかったのだと思います・・

     骨と皮になるまで・・
     乙音は懸命に生きようと・・
     絶対に生き続けようと・・ 
     頑張ったのだと思います・・


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by harutsuku | 2006-10-06 01:17 | 闘病記
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