~原因不明の病気と闘った愛犬の記録~



カテゴリ:検査・治療の知識( 19 )
【病気のサイン】

過去の記事から、大事だと思うことを再度掲載します・・という手抜き記事その2。
病気のサインについて。

病気のサインは、「複数の症状が現れることが多い」といいます。
一時的な体調不良による症状と、病気のサインが見た目全く同じのことがありますので、その場合は特に「他に何か普段と違う症状はないか?」・・ということに注意した方が良いと思います。
注)一つの症状しか現れないからといって、病気のサインではないとは言えません。

日々、気を配るべき症状と、病気のサインの確度(※目安です)は下記です。



★の数が多いほど緊急性があり、重篤な病気の可能性があるようです。
(注:明らかに緊急を要すると分るサインは除きます。)

★★★ の症状が複数見られたり、★や★★の症状だけでも3~4以上見られるような場合は、注意した方がいいと思います。

-----------------------------------------------------------------

【食欲】
  ・お腹が空いているはずなのに食べようとしない ★★★
  ・日々、食欲が異常なほど減退している ★★★
  ・異常に食欲がある ★★★
  ・食欲にムラがある ★

【飲水量】
  ・水を異常に飲む ★★★
  ・水を全く飲まない ★★★

【排尿】
  ・排尿をしない ★★★
  ・尿が出にくい ★★
  ・尿の量が多い ★★★
  ・排尿回数が多い ★★★
  ・濁っている(結晶が混じる、ザラザラしている) ★
  ・尿全体が赤い ★★★
  ・尿全体が濃い茶色 ★★★
  ・尿全体がオレンジ色 ★★★

【排便】
  ・便秘(普通に食べている場合) ★
  ・下痢が続く ★★★

【体重】 ※何れも食べる量に変化ない場合
  ・体重が急激に減る ★★★
  ・体重が急増する ★★

【嘔吐】
  ・食後すぐに吐く(問題ない場合もあり) ★
  ・食後しばらくして、
     「白や黄色の泡状の物を吐く」 ★
     「胃液などに半消化の餌が混じる」 ★
     「嘔吐物に赤いものが混じる」 ★★★

【咳・くしゃみ】
  ・たんが絡むような咳をする(喉の奥でガラガラという音がする) ★★★
  ・乾いた咳をする(コンコン、ガーガーなど。白い泡を吐く場合がある) ★★
  ・弱々しい咳をする ★★★
  ・くしゃみをする ★

【呼吸】
  ・ヒューヒュー、ガーガーなどの音を伴う ★

【鼻】
  ・常に鼻が乾き、元気がない ★★
  ・膿状の鼻水が出て、鼻がつまっている ★★★
  ・(鼻水やくしゃみを伴って)鼻血が出る ★★

【耳】
  ・臭う ★
  ・耳の内側を頻繁にかく ★
  ・耳(頭)を頻繁に振る ★

【皮膚・被毛】
  ・急に毛ツヤが悪くなる ★★
  ・部分的に脱毛する(抜けたあとの皮膚に新しい毛がない) ★
  ・右半身、または左半身に集中して脱毛がある ★★
  ・毛が抜けるのに痒がらない ★★
  ・皮膚をつまんでも戻らない ★★★
  ・皮膚が腫れ、触っても痛がらない ★★★
  ・皮膚にしこりがある ★★★

【目】
  ・両目に目ヤニが出る ★★
  ・内出血している ★★
  ・眼球が揺れている(痙攣のように) ★★★

【舌】
  ・舌の上に突起や凹みがある ★★★
  ・舌全体の色が変わる ★★★

【お腹】
  ・食後や便秘でもないのに膨れる ★★★

【喉】
  ・喉(顎の下辺り)が腫れる ★★★

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by harutsuku | 2007-10-10 21:40 | 検査・治療の知識
【腎疾患が疑われる場合の血液検査(2/2)】

腎機能チェックの検査には、クレアチニンの値を基にした下記の検査方法があるようです。
血液検査項目であるクレアチニン(Cre)は、「腎臓以外の要因から影響を受けない」ということから、腎機能のチェックに適しているようです。

  ①内因性クレアチニンクリアランス
  ②外因性     〃


それぞれの詳細です。


①内因性クレアチニンクリアランス

【目的】
 ・血中にあるクレアチニンが、肝臓の働きによって尿にどれだけ排泄されるかを調べる。
  
【方法】
 1)膀胱洗浄
 2)カテーテルで尿を20分間採取
 3)10分後に採血 ⇒血中クレアチンを測定
 4)クレアチン値、尿量、体重を測る


【判定】
 下記の式で正常範囲かどうかを判定する
 
  CCr= 尿中クレアチニン×尿量 / 血中クレアチニン×20×体重(kg)

   正常値=犬:2.4~5.0 (ml/min/kg)
         猫:1.9~5.0     〃



②外因性クレアチニンクリアランス

【目的】
 ・外から与えたクレアチニンが、どれだけ排泄されるかを調べる

【方法】
 1)クレアチニン溶液(50mg/ml程度)を皮下注射(※注射液量は10ml以下)
 2)体重の3%相当の水を経口チューブで胃内に注入
 3)クレアチニン投与50~60分後に生理食塩水で膀胱洗浄
 4)注射後60分経過してから、20分間隔で採尿
 5)採尿開始時と終了時に血清サンプルを採取
   ※下記の式にはこの2回の平均値を代入

【判定】
 下記の式で正常範囲かどうかを判定する

  CCr= 尿中クレアチニン×尿量 / 血中クレアチニン(平均値)×20×体重(kg)

   正常値=犬:3.5~5.0 (ml/min/kg)
         猫:2.5~4.0     〃

・雄犬の場合、上記CCrは、糸球体濾過量(GFR)をやや上回る。
・猫の場合、GFRをわずかに下回る。

   ※糸球体濾過量(GFR)とは
     糸球体という腎臓内の毛細血管が、血液から濾過した原尿の量。




サイトもぼちぼち更新していますので、宜しかったらご覧下さい。

     
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by harutsuku | 2007-10-05 23:00 | 検査・治療の知識
【腎疾患が疑われる場合の血液検査(1/2)】

腎疾患が疑われる場合の血液検査について。

腎疾患(の見極め・経過観察)に関係する血液検査項目は下記の通りです。

 【腎疾患パネル】
 〔一次〕 BUN(血中尿素窒素)、Cre(血清クレアチニン)、尿比重(USG)
 〔二次〕 P(血清無機リン)、Ca(血清カルシウム)、K(血清カリウム)、Cl(血清クロール)


・一次パネルの3項目は必須。
・腎不全などの場合、腎臓以外の要因から影響を受けない「クレアチニン」の検査結果が重要。


【クレアチニン・BUNの上昇+等張尿(※1)+濃縮尿、の場合の血液検査】

 ナトリウム、カリウム、カルシウム、TP、アルブミン、血糖値、T-cho(総コレステロール)
 加えて、腎臓のX線検査、超音波検査を行うのが望ましい。

   ※1:等張尿:血漿浸透圧と同じ尿。(比重は1.010)


【高カルシウム血症によるものかの見極め(※2)】

  リンの上昇があるかを調べる。
         ⇒上昇ありの場合、カルシウムの低下があるかを見る。

 ※2:腎疾患の多く(7~8割)はカルシウム値は正常を示すが、上昇を示す場合もある。
    


カルシウム値が高い場合の注意点です。

   ①腎不全によって、カルシウム値が高い 
   ②高カルシウム血症によって、腎機能が低下している

①も②も、「腎機能の低下+Ca値が高い」状態です。
どちらが先か・・という問題ですが、原因が何かを突き止める上ではとても注意が必要です。


①の場合は、「原因は腎疾患」・・ということが分かっています。
腎疾患の治療を始めることができます。

ただ、②の場合は、「高カルシウム血症が原因」です。
高カルシウム血症の「原因となっている疾患は何か?」・・を探る必要があります。
【血液検査項目2 Caについて】 にも書きましたが、もしかしたらこんな病気が隠れているかもしれないのです・・・

  ・リンパ肉腫(犬) (※猫は稀)
  ・リンパ性白血病
  ・多発性骨髄腫
  ・骨髄増殖性疾患
  ・肛門アポクリン線癌
  ・肛門嚢癌 (※高齢の雌犬に多い)
  ・腫瘍の骨への転移


参考にしている本には、
Ca、Cre、BUN、P・・の測定だけでは、①②の区別はし難い」・・と書かれていました。
・・まあ、確かにそう単純なものではないのでしょう。

やはり、血液検査の結果と併せて、総合的に診ることは重要だと思いました。
「状態・症状優先で診る」・・・ことは、隠れた疾患を見落とさないために必要だと思います。

それと、「イレギュラーなことはある」ということを、獣医師は常に頭に入れていて頂きたいと。
頻繁な下痢をせず、それ故に「腸の疾患ではない」と言われてしまっていた乙音が、
亡くなる前日に、「腸に病変があった」ということが分かったことからも言えます。。

そんな時、「飼い主の直感」というのは、とっても大切だと改めて思うわけです。
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by harutsuku | 2007-10-03 23:15 | 検査・治療の知識
【肝疾患が疑われる場合の血液検査(2/2)】

肝疾患が疑われる場合の検査について。


肝機能検査には、「内因性と外因性」の機能検査 があります。
下記の項目の数値を計測することで、「内因(肝臓自体に障害があるか)性の検査を行います。


【内因性機能検査】

目的:肝臓が生産する物質および処理する物質(下記)の量を調べ、肝機能が正常であるかどうかを判断する。

   BUN(血液尿素窒素)、アルブミン、グルコース(血糖)、
   T-cho(総コレステロール)、T-Bil(総ビリルビン)
   アンモニア(NH3)、総胆汁酸(TBA)


胆汁酸
肝臓で作られ、胆汁中に排泄される。回腸(※小腸の一部)で再吸収されたのち肝臓に戻り、肝細胞によって除去される。(腸肝循環という)
肝臓が少しでも侵された場合、胆汁酸は血液中に漏れるため、肝機能チェックの指標となる。
ビリルビンよりも敏感な検査で、また黄疸よりも先に増加する。

アンモニア
主に腸内細菌によるアミノ酸の異化により生じ、肝臓で除去されたのち尿素となり、腎臓によって排泄される。
肝障害がある場合、尿素は減少する。
アンモニアは、肝臓に障害があると解毒できないため、中毒による神経症状が出る。(肝性脳症)


血液検査以外で肝機能をチェックする検査には、色素(試薬投与)検査があります。

   色素(ブロムスルホフタレイン、インドシアニングリーンなど)を静脈に投与する。
    ・肝機能が正常であれば、投与した色素は除外される。
    ・異常があれば色素が検出される。 

結果の判断が難しいこともある血液検査のみで肝機能の状態を判断するより、このような試薬検査を行った方が、肝機能を確実にチェックできるように思います。
ただ、たとえ正常であっても、試薬によって少なからず肝臓には負担がかかるので、安易には行えないのかな・・・と感じました。

※次回、「腎疾患が疑われる場合の血液検査(1/2)」の予定です。
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by harutsuku | 2007-09-22 19:17 | 検査・治療の知識
【血液検査項目6 カリウム(K)について】

1週間以上、更新が空いてしまいました。。
電解質項目で書き残してしまっていた、カリウム(K)についてです。

   正常値 犬:4.4~5.4 mEq/l 程度  猫:4.0~4.5 程度


カリウムを測定しなければならない場合は以下の通りです。

   ・嘔吐
   ・下痢
   ・衰弱(犬:後脚の運動失調、猫:頭を持ち上げられない状態)
   ・原因不明の不整脈
   ・排尿異常(乏尿・無尿・多尿)
   ・原因不明の巨大食道症
   ・激しい脱水状態


カリウムの数値観察が必要な疾患は以下の通りです。

   ・副腎皮質機能低下症(アジソン病)
   ・腎不全
   ・糖尿病性ケトアシドーシス


また、以下の治療中にも観察が必要のようです。

   ・輸液療法(点滴:生理食塩水)
   ・利尿治療
   ・カリウム投薬中
   ・インスリン治療中



【測定誤差要因】

カリウムの測定誤差要因は、①血液の状態による ②薬物療法による ・・があるようです。

 ①血液の状態による誤差
   1)低い値を示す場合
     ・高脂血症
     ・高タンパク血症
     ・BUN(血液尿素窒素)115mg/dl以上の時

   2)高い値を示す場合
     ・血小板数が異常に高い場合
     ・WBC数(白血球数)が20,000以上の場合


 ②薬物療法による場合

   1)低い値を示す場合
      利尿剤、下剤、カリウムEDTA、カルバニシリン、ペニシリン(大量投与)
      インスリン、重炭酸ナトリウム、アスピリン、ブドウ糖の静脈注射時
      期限切れのテトラサイクリン投与時、副腎皮質ホルモン(ステロイド)
      アンフォテリシンB、アミノグリコシド・・など

   2)高い値を示す場合
      ヘパリン溶液(クロルブトールを含む)、サクシニルコリンの反復投与
      ジギタリスの過剰大量投与、カプトプリル、アルドステロン拮抗型利尿剤
      マンニトール注入の高浸透圧、プロプラノトール・・など



カリウムの検査で注意することは、「高脂血症の有無」「高タンパク血症の有無」があるかどうかや、上記の薬品を投与していないかどうかです。
また、高カリウム血症の場合、
      ①医原性(薬の過剰投与)
      ②急性原発性乏尿性腎不全
      ③副腎皮質機能低下症   ・・・が大きな原因と考えられるようです。

   
※次回、「肝疾患が疑われる場合の血液検査(2/2)」の予定です。
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by harutsuku | 2007-09-18 19:35 | 検査・治療の知識
【肝疾患が疑われる場合の血液検査(1/2)】

血液検査項目として、TP(血漿総タンパク)、Ca、Na、P(リン)、Cl(クロール)の5項目について書いてきました。
次は、肝疾患&腎疾患が疑われる場合に検査する項目について書いていきます。

※追記-------------------------------------------
K(カリウム)が抜けていましたので、次回書きます。
--------------------------------------------------

その前に、内臓の中でも重要な肝臓と腎臓の病気が疑われる場合の「血液検査の項目選択」「判定」・・について、参考にしている本(※動物看護士向けの教本)に書いてあることを、各2回(計4回)に分けてまとめてみたいと思います。

※尚、各臓器別の疾患を判定するための血液検査項目は、以前書きました 
【(血液検査における)臓器別パネル】 も参考にして下さい。



◎肝疾患が疑われる場合の血液検査


【肝疾患パネル】
 〔一次〕 ALT(GPT:アラニンアミノトランスファラーゼ)、
       AST(GOT:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)
       ALP(アルカリフォスファターゼ)、ALb(アルブミン)、TP(血漿総タンパク)
 〔二次〕 BUN、Cre、T-Bil(総ビリルビン)、T-cho(総コレステロール)、尿中Bil



肝疾患が疑われる場合、まず上記〔一次〕の5項目の血液検査が必要のようです。
但しその中で、ASTは肝臓以外の臓器にも存在するため、この数値の異常だけでは肝疾患とは判定できないようです。

ALT、AST、ALPの3項目は、「肝機能に異常がある場合に正常値より高い」のですが、「正常値より低い場合でも肝疾患の場合がある」・・そうです。

それは、

・肝硬変や肝性脳症のように、肝細胞が減少している場合
・門脈シャントのように、血管異常がある場合


・・・。

ご存知の通り、血液検査の正常範囲に対して、検査値が「低いか高いか」で疑われる病気が決まっており、それに従って判断するのが普通だと思いますが、このようなイレギュラーな場合もあるのですね。
私たち素人の飼い主には分からないことですね・・
獣医師ならば知っているはず・・・と思うのですが、どうなんでしょう・・・か。
症状などから総合的に診断していくはずなので、こんな場合でも「問題なし」なんて言われることはないと思いますが・・。

肝疾患であるかどうかを、より正確に判定していくための血液検査項目は、臓器別パネルの〔二次〕項目になるようです。

--------------------------------------------------------------------
【追記】
「血液検査(一次)はOK」⇒問題なし⇒確定診断が遅れる
・・・ということがないように、
「血液検査は問題ないと言われたけれど、やっぱりおかしい・・」
・・・と感じる場合、肝疾患の症状が見られる場合は、
「二次の血液検査項目を調べて頂く」・・ということが必要だと思います。
※肝疾患に限らず

血液検査だけを過信せず、「状態優先で診断して頂く」ことは、
手遅れにしないために絶対に必要だと、経験から思います。
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※次回、K(カリウム)の記事の後に、「肝疾患が疑われる場合の血液検査(2/2)」をアップする予定です。
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by harutsuku | 2007-09-11 22:08 | 検査・治療の知識
【血液検査項目5 クロール(Cl)について】

Ca・P(リン)・Naに続き、血液検査のうちの電解質項目:クロール(Cl)について。


   正常値 犬:105~115(mEq/L)程度 猫:117~123 程度

クロールって、他の電解質に比べて聞き慣れないですね。
NaCl(塩)の「Cl」です。
塩分の形で摂取されるようですので、Naとの関わりが大きいようです。
役割としては、主に「体内の水分保持」「浸透圧の調節」。
胃酸にも含まれているようです。


《数値が低い場合》
   ・(胃による)嘔吐
   ・副腎皮質機能低下症(アジソン病)

《数値が高い場合》
   ・Clの入った薬の服用中
   ・利尿剤の投与中
   ・硫黄による中毒
   ・脱水
   ・Na値が高い場合と同じ疾患(浸透性利尿、尿崩症、腎疾患など)

測定誤差要因としては、「偽性低クロール血症」「脂血症」「高タンパク血症」。


胃酸に含まれていることから、胃の不調による嘔吐で失われ、この場合は、ナトリウム値よりも(比率として)低い値を示すようです。
Naとの関係が深いため、NaとClは同時に測定することが望ましいようで、またK(カリウム)によっても変動することがあるようです。


参考にしている本では、他の項目に比べ、記述はかなり少なかったです。
いまいち、すっきりしない検査項目でした・・
この項目のみで判断するようなことはあまりないのかもしれません。
素人の飼い主としてチェックするのは、「NaやKを測ったときにClも測定しているか?」とかでしょうか。
もしClを測ることがあった場合、獣医師に「Clで何が分かるの?」と聞いてみるのもいいかもしれません。
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by harutsuku | 2007-09-05 00:34 | 検査・治療の知識
【血液検査項目-番外- 単位について】

単位なんて聞くと拒絶反応を示す方も多いと思いますが、豆知識的に気楽にお読み下さい。(分かり難かったらすみません。。)


血液検査では、各項目ごとに単位が決まっているのはご存知の通りです。
見慣れないものもあれば、馴染みの単位もあるわけですが、普通は単位の意味まで知っておく必要はないと思います。
血液検査の項目ごとの単位は、基本的には統一されているので、通常は単に数字の比較で充分です。
ただ、稀に異なる単位で表されているのも見かけます。
この場合は、数値の差が大きい(桁が違うなど)はずです。
(※ほとんど変わらないものもあります)

ご自身でサイト等に掲載されている基準値を参考にされる場合で、その基準値と我が子の検査値との差が大きい場合は、単位が同じかどうかの確認は必要です。
血液検査の基準値には、必ず単位が併記されているはずですので。

単位の意味まで知らなくても良いのですが、知っているのと知らないのとでは、直感的な判断に差があります。
つまり、単位の意味を知っていれば

  「何を基準としている値なのか」
  「何と何を見ている値なのか」

・・ということが分かっているので、「値が振れたのは何故か?」ということが(およそ)直感的に分かるわけです。
まあ・・・だからと言って、原因まで分かるわけではないのですが。。


血液検査の単位は、基本的に、

   ①血液中の成分の重さ/血液の容積 ⇒ある容積の血液内に存在する、成分の重さ
   ② 〃 成分の数/血液の容積 ⇒ ある容積の血液内に存在する、成分の数
   ③ 〃 赤血球の容積/血液の容積 ⇒割合(%) ※ヘマトクリット値(PCV)のみ

・・です。

①=濃度、②=数、③=割合・・という表し方です。
どれも基準となる血液(血清または血漿:分母)の容積に対し、「測定したい成分が、その中にどのくらいあるか」を示しています。


では、検査値が振れる(増減する)場合は、「どういうことが起こっているのか?」ですが、

   ①濃度の場合⇒a)濃度が高くなっている(脱水など)
              b)低くなっている(血液内に水分が増えて血液が薄くなっている)
              c)成分そのものの増減によって、濃度が変わっている

   ②数の場合 ⇒成分の(固形数の)増減
   ③割合の場合⇒赤血球の増減

・・という状態が考えられます。
(もちろん、検査誤差の場合はこの限りではありません。)

血液検査項目の単位で一番多いのは、①の濃度での表し方ですが、だからといって濃度で表される全ての項目で脱水や加水状態が原因になるかかと言えば、そうではないですが・・・
成分そのものの増減でも濃度は変わりますので・・


脱水状態で濃度が上がるのは、小学生の頃に理科の実験でやったような理屈です。
例えば、100mlの水に塩を5g入れて完全に溶かし、塩水を作ったとします。
そのうち、50mlを取り出せば、中に解けている塩は2.5gです。
では、100mlの塩水を加熱して水分を蒸発させ50mlまで濃縮したら、解けている塩は5gですね。
同じ50mlという基準容積の塩水ですが、解けている塩の量は倍になります。

脱水状態の場合は、このように血液中の水分が減っているために、成分の濃度は高くなり、検査値は高くなるわけです。
血液が薄まっている場合はこの逆で、濃度は低くなりますので、検査値は低く出ます。

また、
100mlの水に「1gの塩」を溶かして50ml取り出した濃度と、
100mlの水に「10gの塩」       〃      とでは当然濃度が異なり、
この場合は、血液検査で言えば、脱水や加水に関係なく、成分そのものの量の増減があるから値が振れるわけです。


検査項目の単位で、分子が「g」「mg」「mEq」「UI」「U」のものは、濃度で表されています。
赤血球数(RBC)、白血球数(WBC)、血小板数(PLT)は、数で表され、
ヘマトクリット値(PCV)は、割合(%)で表されます。

・・長々と書いてきた割に、何か大したこと書いてませんでした。。
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by harutsuku | 2007-08-29 01:55 | 検査・治療の知識
【血液検査項目4 ナトリウムについて】

TP・Ca・Pに続いて、血清ナトリウム(Na)について。

  正常値  犬:141~152程度、猫:147~156程度


《数値が高い場合》
  ・高Na血症、脱水、浸透性利尿(高血糖症)、尿崩症など

《数値が低い場合》
  ・下痢、嘔吐、うっ血性心不全、慢性腎機能障害、副腎皮質機能低下症、尿路破裂など


ナトリウムの測定が必要となる状態・疾患は下記の通りです。
これらが予測される場合、Naを測定する必要があるようです。

  ・全身性疾患(多臓器にわたる疾患など)
  ・高カリウム血症、低カリウム血症
  ・副腎不全
  ・心不全
  ・腎不全


これらの疾患の症状が見られないのに数値が振れる場合、測定時の誤差や服用している薬の影響も、可能性として考えられるようです。

--------------------------------------------------------------------
【追記】
このように「よく分からないけれど数値がおかしい」場合、薬を服用していなかったか、検査は正しく行われたか、確認してみる必要もありそうです。
もし誤差や検査の不備を考えず、「どこかが悪いはず」という考えだけでいれば、獣医師によっては「いろいろ試される」ようなことも在り得る・・気がします。
結果、「グチャグチャにされてしまう」・・ということも、実際あると思います。
--------------------------------------------------------------------

血清ナトリウム値が低い理由として、「血が薄まっている」「ナトリウムが失われている」。
薄まる場合は、何らかの原因で水分を余計に溜めてしまっていることが多いようです。
これは疾患に限らず、不適切な点滴(ブドウ糖輸液)でも起こりうることのようですが。

高い場合はこの逆です。

内臓や血管からの水分滲出もあるようなので、見た目水分の排泄に異常がなく、Na値に異常がある場合は、内臓や血管・ホルモンなどに異常があるのかもしれません。
また、医原性(治療によるもの)の場合もあり、ミネラルコルチコイド療法(酢酸フルドロコーチゾン:フロリネフなどの服用)、Naを含んだ薬の服用、利尿剤の投与などでNa値が振れることがあるようなので、値を正しく判断するためには、これらのことも考慮しなければならないようです。


・・・と、難しいことを書いても分かり難いですが(汗)、概ね、「Na値が低い場合は要注意
と思っておいた方が良いのかもしれません。
心不全や腎不全などの重篤な疾患の可能性があるからです。


因みに糖尿病の春之進は、発症以来、基準値下限を上回ったことは殆どありません。。
100を切ったこともありました。

※次回はクロール(Cl)です。
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by harutsuku | 2007-08-27 14:28 | 検査・治療の知識
【血液検査項目3 リン(P)について】

血清無機リン(P)について。
通常の検査項目を選択した(限定した)血液検査では、あまり測ることの無い項目かもしれません。


  正常値  犬:2.2~6.5程度、猫:4.5~8.1程度

※正常値範囲は、検査機器や動物の種類によって異なるようです。


《数値が高い場合》
  ・腎疾患
  ・甲状腺機能亢進症(猫)
  ・原発性または二次性上皮機能亢進症
  ・上皮小体機能低下症
  ・ビタミンD過剰症・・など

《数値が低い場合》
  ・高カルシウム血症(悪性腫瘍などによる)
  ・栄養不良
  ・骨軟化症
  ・高血糖状態、
  ・糖尿病治療中(糖尿病ケトアシドーシス)・・など

 
1)血清無機リンの値が高い場合、腎不全の場合が多いようですが、腎不全になった原因疾患が存在するケースがあります。
例えば、「原発性または二次性上皮機能亢進症」。

 上皮小体ホルモンの多量分泌⇒高カルシウム血症⇒カルシウムの尿管沈着⇒腎不全

結果、血清無機リンは高い値を示すようです。
(この病気の場合、リンの他、クレアチンと尿素窒素の数値も上がるようです。)


2)また、腎機能が正常であっても高い場合があります。
(猫に限り)甲状腺機能亢進症、上皮小体機能低下症です。
上皮小体機能低下症の場合は、同時に低カルシウム血症を起こすため、痙攣発作をすることがあります。

3)ビタミンD過剰症の場合は、カルシウムとリンが上昇します。


このように血清無機リンは、腎機能やカルシウム、ビタミンDとの関係を見ることで、
リンの数値異常の原因が何かを絞っていくことが出来そうです。
原因不明の溶血・痙攣発作・血清アルカリ・フォスファターゼ(ALP)の上昇がある場合
「血清無機リン濃度を測るべき」・・と、参考にしているに書かれています。


※次回はナトリウム(Na)です。
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by harutsuku | 2007-08-21 20:54 | 検査・治療の知識



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